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 ど~~やら、実習練習ってゆ~~のは。

 職業の適性検査ってぇヤツも、兼ねているみてぇでさ。

 上手く行けば、そのまま、将来の就職場所も決定しちまうらしい。

 オイラに、一っ番~~高けぇ値段をつけた『自衛隊、諜報部』に身売りが出来ずに。

 武蔵川だの、久谷だの、研究所でエラいヤツらは。

 研究費が削減されるってぇ、かんかんに怒ってたけど。

 一人、オイラのMama(ママ)だけが、ころころ笑って、今度の実習場所を選んでくれたんだ。




「次には、厳しい教官がいて、服装規定もあるのに!

 どうして、髪もピアスもそのままなんですか!?」


「ん~~ポリシー?」


「誰も、アンドロイドに、そんなモノ求めてませんよっ!

 良いですか!?

 今度、実習先でトラブったら、解体処分なんですからね!」


「アタマがオレンジなだけで大げさだなぁ。

 別に、オイラの就職先なんてさぁ。

 そんな堅ってえ~~トコじゃなく、コンビニのバイトでもいいじゃん」


「セブンティ!」


 やっぱ、武蔵川って、超~~ウゼぇ。



 そんなこんなで到着した、新しい実習場所に特に思い入れは、ちっとも、ねぇけどさ。

 辺りに一杯花が咲いている分だけ。

 武蔵川の面(ツラ)を拝んでいるよりだいぶマシで。

 外で、俺達のヘリを迎える準備に、バタバタしている作業員たちをぼ~~っと眺めていたトキだった。


 突然『ソレ』が来た。


 今まで感じたことのない、何かがせり上がって来る感覚に口元を押さえて、その場にうずくまる。


「うぁ……っ!」


 思わずうめいたオイラに、武蔵川がぎょっとして声をかけた。


「セブンティ! どうしたんですかっ!?」


「アタマが、ぐらぐらする~~

 胸がつまってぎも゛ぢわ゛る゛い゛~~

 なんか、二日酔いでも起こしたみてぇな……」


「あなたアンドロイドのクセに、また、面白がって変なのを摂取したんでしょう?」


「小言をゆ~~な~~アタマに響くだろ~~

 吐く~~トイレ、どこ~~?」


「この、お莫迦アンドロイド!」



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