空に手が届きそうだ
「だって、嫌だったの。」
はらり、彼女の目から涙が落ちる。
「教室の隅に居るネクラ……と純ちゃんが一緒に居るのが。」
「何で?」
やんわりと、純一郎が聞いた。
「だって、おかしいじゃん。」
「何が?」
「ネクラなのに、純ちゃんと喋るなんて……。それに、純ちゃんの事好きだったから………。」
「俺が好きなら、ちゃんと言えばいいじゃん。」
「だって、恥ずかしかったから……。」
相坂はきゅっと、下を向いた。
「一個聞いてもいい?」
「何?」
ゆっくり、少女は顔をあげた。
「いじめをしようと言い出したのは相坂?」
「うん。」
「他の子達はそれに賛同してただけ?」
「うん。」
「わかった。」
純一郎は、優に目配せすると柔らかく笑ってみせた。
「とりあえず、なんで優がいじめられたかはわかった。でも、なんであんな事言った?」
「だって………。」
「あそこまでする必要は無いだろ?」
優は、その言葉を思い出して俯いて唇を噛み締めた。
「だって、あり得なかったの!!教室の隅に居る子と私より多く喋るなんてっ。」
「だからって言っていい事と悪い事があるだろ!!!」
「だって、言わなきゃわかんないと思ったからっ」
だから、皆の前で……。
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