空に手が届きそうだ
うん、と頷いてみたが正直よくわかって無い。
「もっかい言って」
「やだ。」
「ねぇ………。」
「とりあえず、帰ろ。」
「……わかった。」
上手く、丸め込まれた気がした。
行こう、と促されて小さく頷いた。
自然と、繋ながれた手。
「今日は、どうする?」
「ん?」
「お風呂入って寝る?それとも、ドライブする?」
「寝る」
釣れないなぁという風に、わかったと言った。
「明日、文化祭だから」
「学校まで送るよ。」
いつの間にか、着いた部屋。
「どうぞ~。」
来た時と同じように、深が振る舞う。
「ありがとう。」
違うのは、服装ぐらいだ。
「何か、食べる?」
「ううん。いらない。」
入ってそうそう、台所に行って水を取り出した。
「深も、居る?」
「いる。」
ふっ、と隣で深が笑った。
「何?」
「呼び捨て。」
自然と、呼び捨てにしている事に気づかず喋っていたらしい。
「ごめんなさい」
「いいよ。その方が、恋人らしいから。」
深は、自然に頬にキスをして水の入ったコップを運んだ。
「………。」
恥ずかしくて、何も言えない。
「優、おいで」
我に返ると、冷蔵庫に水をしまった。
「ちょっ、恥ずかし過ぎて死にそうなんですけど。」
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