( 新撰組 * 恋情録 )

 「 あたしは、新撰組と共に生きたい。
      だから、傍に居させて‥? 」

 土方さんは返事の代わりに立ち上がり、
 唇を笑みの形に歪めた。

 「 ‥なら、着いて来やがれ。
         盗み聞きは、無しだ 」

 その言葉であたしは漸く
 自分が許されたんだと知った。

 「 それと、約束だ。俺から絶対に
  離れるな。目の届かねぇ範囲に
  居られて、守ってやれる自信は
  ねぇんだよ。‥ほら、さっさと
  支度しやがれ。行くぞ 」

 伸ばされた大きな手。
 それをしっかりと掴んで
 あたしは立ち上がり、大きく頷く。

 ( 後悔しないよ。この手と
        一緒なら、絶対に―‥ )










 ―――そして血の夜は幕を開けた。
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