ヒーロー フロム ザ アトランティス
ハクが世界新で注目を浴びる数日前の東京新宿。
東口のオーロラビジョン前は、昼休みの人通りでごった返していた。
「とにかく速い!わずか14歳の少年が、日本新記録に次いで世界新記録にあと0コンマ1秒まで迫りました。彼の名前は徳川太郎!あのスポーツ業界国内二位を誇るヒノマルスポーツ社社長の御孫さんということです。彼は今までアメリカ在中の祖父のもとで育ち・・・」
「へへーんだ。もうすぐ業界一位のジャパンスポーツを抜いちゃうもんねっ!」
神奈川にあるヒノマルグループ所有の、室内プールに設置されたワイドテレビを見ながら、南田洋一は踊り出さんばかりだった。
「ヨーイチ!エラとミズカキを使えば、僕もっと速く泳げるよ」
コクが不服そうな声を出した。
「それはまずいのだ。いきなりとてつもない世界新など出されては注目を浴びてしまう。ちょろちょろと小出しにしてオリンピックで一気に爆発させる。それにコクはまだクロールを完璧にマスターしていないだろ」
「本当にオリンピックが終わったら、ひかるとデートさせてくれる?」
「もちろんさ!だから頑張れよぉ」
洋一は夢見心地だった。
コクは日本に来る前、通信ロボットクラゲに、南田家でのかくかくしかじかのメッセ-ジ
を一方的に長官に出していた。
もうコクの心はひかる一色であった。