天国からのメール
家に着くと、玄関前にはなぜか慎一が立っていた。


「お?慎一?」


後ろから呼び掛けると、驚いてこちらを振り向いた。


「あ、聡……」


「おいおい、今日は朝っぱらから、やたらメンバーに会うな……」


そう呟く聡。


「え?何?」


聡の呟きが気になったのか、聞き返す慎一。


「いや、何でもない。それよりどうしたんだよ慎一、こんな朝っぱらから?」


「うん……」


何やら考え込んでいる様子の慎一。


「……とりあえず、中入るか?」


そう言って、玄関のドアを開けた。


「いやいいよ、ここで」


「遠慮すんなって」


慎一の腕を引き、半ば強引に中に入れる聡。


部屋に上がると、慎一の表情が曇る。


「……どうしたんだよ?」


「うん……」


長い沈黙。


「実は……僕……」


「うん?」


「……ううん、なんでもない。ごめんね、朝早くから」


そう言って立ち上がろうとする慎一。


「待てよ。そんな状態でなんでもないわけないだろ。何があった?どうしたんだよ?」


そう言って引き止める聡。


「竜太には言ったんだけど……」


「だから、何だよ?」


「僕……バンドやめるかも」
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