雨に似ている
窓枠の空
温度調節の行き届いた、暑くもなく寒くもない空間。



「暑さ知らずでいいな」



暢気な笑い声が、詩月を苛立たせる。




晴れた日も曇った日も雨の日も関係なく詩月は、自由に出かけることもできない。



窓枠から見える小さな空と僅かに見える街並みだけが、外界に繋がる全て。



毎日、決まった時間に訪れる看護師と繰り返される会話。



詩月は数日置きに行われる仰々しい検査に、不安を募らせる。



夏休みも早々に、殺風景な空間に押し込まれ、時間を持て余し詩月は、いい加減うんざりしている。



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