雨に似ている
あいつに何を!
「郁子!お前、あいつに何か言ったのか!」




聖諒学園前BGMを流さないカフェ・モルダウ。




理久は荒々しく扉を開けて入ってくると、郁子の胸ぐらを掴みそうな勢いで、怒鳴り声をあげた。




郁子は突然、理久に詰め寄られたうえに怒鳴られ何がなんだか訳もわからず、戸惑いの表情を見せた。




「おい理久、落ち着け。

ちゃんと順をおって話さなきゃわからないだろう」




貢が、二人の間に割って入り、理久を懸命に宥めた。




「昨夜、あいつが発作起こして……。

夏前からあいつ、度々発作起こしてて……あまりいい状態ではないんだ。

だから、ウィーン留学を辞退したし、少しでも無理しないようにしている。

だから『手術をしてくれ』なんて、そんな無茶……あいつが言うはずないんだ」



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