雨に似ている
練習室にて
十日余り降り続いた雨が止んだ。




激しく冷たい雨に加え怒号のような雷が、幾つも鳴ったが、久しぶりに青空が戻った。




「いつになれば梅雨明けするんだろうな。

カビが生えそうだ」




郁子は病室で、詩月と話した会話を思い出し青空を見上げる。




「モルダウ」で倒れて以来、詩月は体調を崩し、数日ごとに欠席を繰り返す。




数日ぶりに、詩月が登校した日。




彼がウィーン留学を辞退したとの噂が、学園内に流れた。




郁子も貢も詩月の実力を思えば、疑問を拭いきれない。




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