白銀の女神 紅の王
「少し……痛むが、我慢しろ。」
シルバの声に、ハッ…と我に返る。
私が一人、ぼーっと考えている間にも、シルバは手際良く手当てを進めていた。
シルバの手には、濡れた布が握られている。
「だい…じょううぶ…です……。」
荒い呼吸でシルバの言葉に応えれば、眉を寄せて苦しそうな表情をするシルバ。
思ったよりも、熱が悪化してきているみたい…
それは、きっと、シルバの顔を見て、張り詰めていた糸が切れたみたいに、緊張が解けたからだろう。
今まで気にならなかった熱も、今は、ドクドクとなる心臓の音まで聞こえる程に感じていた。
けれど………
シルバが、血がこびり付く左腕に、そっと手を添えた時―――
「ッ………。」
痛む左腕も。
熱に浮かされて苦しい呼吸も。
その瞬間だけは、忘れられた……
険しい顔をしながらも、手当をするシルバに目を奪われる。
傷の周りの血を丁寧に拭い終わった後、濡れた布が傷に触れる。
「つッ……!」
ビリッ…と走った痛みに、小さく声を上げれば、途端に止まるシルバの手。
我慢しろ…と言ったのに、手はちゃんと止めてくれる。