白銀の女神 紅の王
「痛むか?」
え………?
一瞬……――――
痛みも忘れる程に驚愕した。
眉を寄せて、労る様な言葉をかけるシルバに、ただただ困惑した。
けれど、胸はキューッと甘い痛みで締め付けられる。
能力を失った私の事なんて助ける価値もないのに…
私がもう、貴方にとって何の価値もない人間になってしまった事を、貴方は知らない。
貴方を騙してでも傍にいたいと思う、卑怯な私を許して下さい……
誰に向けるでもない……
しいて言うならば、全てを見通している神へ、許しを求めた。
「痛く……ないです…っ……。」
否定の言葉と共に流れ落ちる涙。
痛むのは、傷ではなく、心だから……
「ふっ……ごめ…っ…なさい……。でも…本当に、痛くない…の……っ。」
シルバの目には、左腕の傷の痛みで泣いている私が映っているだろう。
これ以上、迷惑をかけたくなくて伝えた言葉も、ボロボロと零れる涙のせいで、説得力に欠ける。
私のせいで、追っ手がいつ来るかもわからない時に、足止めを食らい、傷の手当てまでしてもらっている。
それが、とても嬉しくて、とても辛くて、とても申し訳ない。
そんな、ぐちゃぐちゃな感情が一気に押し寄せた。