白銀の女神 紅の王
「これの持ち主は白目をむいて伸びていたが……」
殺していないだろうな?と言う疑いの目線がこちらに向く。
「殺してはいない。それよりも、早く解毒剤を寄こせ。」
差し出された解毒薬を、奪うようにして取る。
筒状の小瓶の中には、薄紫色の液体が入っていた。
これを本当に飲ませてよいものか、一瞬悩んだが…
悠長に検討している余地はなかった。
肩に乗せていたエレナの頭を支えながら、横抱きにする。
眉を寄せて苦しそうにする表情。
血色の悪くなった肌。
こうして見ると、とても儚げに見える。
死ぬな、エレナ……
今にも消えてなくなりそうなエレナの姿に眉を寄せた後…
解毒薬を一気に口に含む。
そして、弱々しい息を繰り返すエレナの唇を覆った―――
初めての口づけは、とても冷たく。
苦々しい味だった……