白銀の女神 紅の王
「毎度ありー」
先程“ショウ・ダウン”の声を上げた男が、テーブルの金を自分の方にかきよせる。
それを悔しそうな目で見つめる男たちはまだ金に未練がある様子。
「おいウォルター。てめぇまさかいかさましてんじゃねぇだろうな?」
負けた男たちの中の一人が口を開く。
「してねぇよ」
ウォルターと呼ばれた30代半ばの男はニヤリと意味ありげな表情で答える。
貴族でもないのにそれなりに上等な衣服を着るウォルターはこの賭博場を仕切っている主人でもある。
「怪しいな…」
「今日はお前ばかり勝ってんじゃねぇか」
金に欲目のある男たちは口々にウォルターを責める。
「俺がいかさまをしているとして…だ。証拠はどこにある?」
ウォルターは冷静に応える。