誘拐犯は私の彼氏!?
私を見た父様は、何も顔に表さなかった。
帰ってきてくれてありがとうと、私を迎えてくれるわけでもなければ。
何故あんな馬鹿なことをしたと、私を叱るわけでもなかった。
ただ、私を見て一言。
「出かける準備をしなさい。」
そう言って私の前を通りすぎていった。
申し訳なさと自分に対する悔しさでいっぱいだった私。
父様の一言で、目が覚めた。
この家は、変わることはない。
いつまでも、家族を中心に回ることはない。