誘拐犯は私の彼氏!?
送られてきたメールを見て、少しだけ緩んだ頬を元に戻す。
メールの返信画面を開いて、
『いくよっ!』
とだけ返す。
あの丘はいつも私の隠れ家だけど、一人が当たり前だったから。
誰かがいるってだけで、こんなに気持ちが違うんだなぁ。
今日はお弁当も作ったし、持っていって一緒に食べよう。
何て言うかな…。
大きめなお弁当箱をかばんに詰めながら、玄関に向かう。
「光沙さま…どちらへ行かれるのですか?」
玄関先で、父様の側近の金井和喜(カネイカズキ)さんに話しかけられた。