塾帰りの12分
「聡美、ほら、次入ってないじゃん」
歌い終えたオクがにやけた顔で私の膝に歌本を載せた。
その時、内線電話が呼び出し音を鳴らし始めた。
私は立ち上がり、受話器を取った。
「はい。
……いえ、延長は結構です。
すぐ行きます」
受話器を置くと私はオクに告げた。
「オク、時間だって。
行こう!」
「え、まだ時間大丈夫だろ?
延長しようぜー!」
「ううん、夕飯までには帰るって言ってきたから、私、もう帰らないと」
そう言うが早いか、私はバッグをつかんで部屋を出た。
「えっ、ちょっと聡美ー!」