塾帰りの12分
私は横を歩く北見先輩をそっと見上げた。
またどこか行く宛があるようで、壁の展示案内板を見て場所を確認している。
文字を追う目が、
真一文字に結んだ唇が、
あごから首にかけてのシャープなラインが、
全部、
好き。
美玖先輩、ごめんなさい。
私なんか美玖先輩にかなうはずもないから、
奪おうなんて考えてないから、
今だけ、許して下さい。
今日だけ、北見先輩の彼女の気分でいさせて下さい――