蔓薔薇
蔓薔薇

悲しみの果て

アキラはイサと会う、約束の
時間に工房へ訪れて部屋に居る
だろう兄に向かって話を続ける

「アニキ、頼んであった
 指輪、できてる?
   
 セリがどうしても見たいって
 聞かなくて一緒に連れてきた
   
 途中でもいいから見せて
 やってくれないかな?」

「途中なんて嫌よ
 完成するまで待ってるから」
 
食卓の椅子に座っていた私は
アキラの存在に驚き、その場
に立ち上がった。
 
そんな私の姿を見て、アキラは
真っ直ぐに私の元へと近寄り
じっと見つめた。  

「ミオ、戻ってたのか
 よかった
 
 心配したんだぞ
   
 ミオがいなくなった事を
 知って、兄貴とそこらじゅう
 捜しても、お前・・・
 どこにもいなくて・・・

 どれだけ兄貴が心配したと
 思ってるんだ

 無事でよかった」
   
アキラは、優しく私を
抱き寄せた。
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