蔓薔薇
「俺に女ができようが
 できまいが放っとけよ」

イサオさんは煙草を取り上げ
銜えて、火をつけた。
 
その銜えた煙草を、彼女は
取って灰皿に捨てた。

「あの子と付き合うの?
 ユイとか言う
 ここにも何度か来た
 お客の子?」

「俺は誰とも
 付き合う気はないよ・・・」

彼女はイサオさんの黒いシャツ
から覗くネックレスに
手を伸ばし

力を込めてチェーンを
引きちぎり

工房へ向かって投げた。

「イサオのバカ・・・

 いつまでも昔の恋人に
 縛られて
 
 いい加減にしなよ」

そう言って、彼女は
工房を出て行く。
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