蔓薔薇
一刻も早く、この場所から
逃げ出したい。
 
そんな思いとは裏腹に
私の両足はひどく震えて
一歩も前へと踏み出せない
でいた。 
 
「綺麗な顔して、あの子の
 中には悪魔が棲んでるのよ
  
 綺麗なのは顔だけで
 後は全て汚れてる・・・」

「やめろよ・・・

 そんな風に友達の事を
 悪く言うのは、やめろ
  
 君が何を勘違いしてるのか
 知らないけど俺とミオちゃん
 はそんな関係じゃない
  
 でも、ひとつだけ
 言わせてもらう
  
 おまえ、最低だよ」

彼はそう言いながら、室内から
工房の方へと歩んで来て
工房に背を向けた状態で
立っている。
 
二人に私の存在が

知られてしまう前に

早くここから・・・
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