蔓薔薇
それなのに、私の足は
動いてはくれない。

「私は、本当の事を
 話しただけ・・・

 私は、ただ貴方の全てが
 欲しいだけなの」

ユイは、もう自分の想いを
コントロールできずに
高鳴る思いの赴くままに
イサオさんに抱きついた。
 
彼は、彼女から顔を背けた。
 
工房の私からは、彼の困惑した
横顔が見える。
 
ユイは、彼の両頬に自分の手
をあて、無理にキスをした。

その行為に驚いた彼はユイを
突き放し工房の方を見たのと
同時に私の存在に気がついた
 
彼は、初めて

私に名を呼びかけた。

「ミオちゃん・・・」
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