【短編】恋の逆転ホームラン
本編
「じゃあ、またね。斉藤」



「おぅ、ハルカ。またなぁ」



小学校から高校まで、



ずっと一緒の 田中ハルカと斉藤浩一



斉藤は、特にイケメンでもなく、



身長も170センチちょっとくらい。



どこにでもいるような、



人生のどこかに花を置き忘れてきたような、



存在の薄い人・・・



そんな斉藤をハルカが意識し始めたのは、



高校生になってから。



雨の日、傘を忘れたハルカに



「これ使ったら?」と



斉藤が傘を貸してくれたのだ。



そのまま斉藤は、



雨の中を濡れながら走って帰って行った。



その日から、ハルカは斉藤と一緒にいるだけで、



盆と正月が一度に来たみたいにワクワクした。



斉藤が歩いているのを見ただけで、



キャーキャー言いながら



写真を取りまくるパー子のような気持ちになったりした。


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