【短編】恋の逆転ホームラン
それでも斉藤の方は、



ハルカに対して、驚くほど脈がない。



心電図で言うと、最初から最後までフラット。



救命処置したいくらい、脈が無いのだ。




傘を貸してくれた以外は、




「よぉ、ハルカ」「おーっす、斉藤」




高校生になっても、友達のまま。



日曜日の夜。




部屋で勉強していたハルカは、



思い切って斉藤にメールしてみた。




【ね、斉藤。明日の1時間目は数学だったよね。



 ところで 斉藤は好きな人、いるの?】




勝負に出てしまった。




野球のネクストバッターサークルで、



ハルカは待っていた。




バットを握りしめて目を閉じて、



打順が来るのを。




全盛期の清原のように、




どんな球でも打てる自信はある。




打順は待つだけでなく、つかみ取るのだと



勇気を出して、ドキドキしながら返事を待った。




斉藤からのメールは




【1時間目は数学でOK。



 えーっと好きな人、いる。



 同じクラスの白谷 香さん。秘密だぜ!】




えっ? えええっ!!!


< 2 / 5 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop