five

慧はブラックの缶コーヒーの蓋を開けた。

コーヒーのにおいが穂のかに香る。



慧は、昔から嗜好が大人っぽくて、あたしは必死に真似しようと頑張ってたんだ。

だから、苦手なグレープフルーツジュースも飲めるようになったし、好き嫌いも減った。

小さいころは何でも慧の真似ばかりしてた。


未だにブラックのコーヒーは苦手だけどね。

ぼんやり小さい頃の記憶を辿る。



「まぁ、小那美も少しは大人になったよ。」

と、慧は照れながら言った。

「ふふっ」

あたしも照れくさくて、笑って見せた。


< 50 / 84 >

この作品をシェア

pagetop