five
キャンプ場までの道のりは5キロ以上ある。
あたし達はすぐに断念して、途中のベンチで休憩した。
「なんだ、情けないなぁ。」
体育会系の菜緒と慧だけは元気だった。
「俺もう無理!慧、オンブしてぇ〜」
「嫌だ。」
京ちゃんは慧に甘え出している。
あたしもすでにへとへとだ。
まだまだ道のりは遠いのに…。
「小那美大丈夫か?」
「うん。ちょっと疲れただけ!」
「ばか。じゃなくて、足だよ。」
「へ?」
あたしの足は気づかない間に靴ずれをしていた。
あたしでさえ気がつかなかったのに、慧はすぐに気づいてくれた。
「お前、気づかないなんてどんだけ鈍いんだよ。」
なんだかんだ言っても、慧は優しいんだ。
あたしは少し嬉しかった。