空になったセブンスター
10
夏…蝉が五月蝿く鳴いている。夏を感じさせるとともに、耳につく鳴き声はイライラさせる。

遼祐とさくらは特にケンカをしていた訳でもなく、普段と何も変わらず過ごしていた。

しかしなぜか遼祐は、さくらとの距離が離れていくのを感じていた。
友達に相談してみても、いつも通り仲良いじゃないか、という言葉が返って来るだけだった。


そんな風にして過ごしていたある日、さくらから一緒に帰ろうと誘われた。
帰り道、歩き慣れた道を二人で帰っていると、さくらの方から声をかけてきた。

『進路決まった?』
『うーん…まだ明確にはきまってないんだよなぁ。さくらは?』
『あたしはね、獣医になりたいんだ。やっぱ動物好きだし、苦しんでる動物助けてあげたいし。だからその専門学校にいくの。』
『へぇ、いいな、ちゃんと夢あって。そういや動物好きだもんな。あれ、あのハムスター…えっとぉ…』
『ももちゃん?』
『そーそーももちゃん!元気?』
『うん…あのね、ももちゃん死んじゃったの。何でかわからない…』
『あ、わり…』
『ううん、いいの。』

沈黙がしばらく続いた。遼祐は反省した。いくつか言葉をかけようとしたが、余計に気まずくなるだけだと思い、その言葉をのみこんだ。
またしばらく歩いていると、さくらが重い口をあけた。
< 11 / 17 >

この作品をシェア

pagetop