偽りの結婚(番外編)



今までの誕生日とは違う…



今日は20歳という成人を迎えた日だったから。

その誕生日に、ラルフがこんなにも素敵なプレゼントを用意していてくれたことがとても嬉しかった。

だからこそ、いつもなら恥ずかしがって言わない言葉も、自然と出てきた。



けれど……

先程から、固まったように何の反応も示さないラルフ。



「ラルフ?」

不思議に思って、体を離せば…

ラルフは、手で口元を覆い、珍しく顔を赤くする。

小さな声で、反則だろ……と呟いている。

いつもとは立場が逆転している妙な光景。

この時は、あまりにも自然と口から出ていたので気にとめていなかったのだ。



「どうしたの?」

と、問えば、無意識か…さらに厄介だ…とぼそぼそ呟くラルフ。



「もうッ!ちゃんと言ってくれなきゃわからないわ。」

「あ、あぁ…ごめん。気にしないでくれ。」

ズィ…と詰め寄ると、そう言って話を逸らされた。





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