偽りの結婚(番外編)
そして……―――
ラルフは、それよりも…と口を開き、話題を変える。
それに納得がいかないながらも、黙ってラルフの言葉を待つ。
「今日の午前中は、ノルマン家に行っておいで。」
「ノルマン家に!?」
思わぬラルフの言葉に、気になっていたことも吹き飛んだ。
「毎年、誕生日はノルマン家で祝っているんだろう?」
何故ラルフが知っているのか。
それは、もはや愚問だ。
アリアから聞いたのね……
行きたいのは山々だけど――――
「いいの?」
おずおずとラルフを見つめる。
ラルフは、私がノルマン家に行くのを良しとしない。
それは、きっとベルナルドさんがいるからで……
結婚した今、何を心配しているのか、ベルナルドさんに対しては敵対視しているようなのだ。
なので、今回のラルフの発言には驚いた。
しかし、ラルフからは先程の言葉を違える事なく、あぁ…という返事が返って来る。
「せっかくの誕生日だ。楽しんでおいで。」
そう言って微笑むラルフ。
その微笑みに、思わずぱぁっと笑顔が零れ…
「ありがとう!」
再びラルフに抱きついた。