偽りの結婚(番外編)



「きゃ、いゃぁぁぁ・・・・!」


寝室に、シェイリーンの叫び声が木霊する。


そして、ラルフの腕を振り切り、起き上がる。


「・・・っ!どうした、シェイリーン。」

途端、いつもシェイリーンと寝ると寝起きの悪いラルフも、弾かれたようにガバッと起き上がる。

それはもう、素晴らしい程の寝起きで。

いつもこれくらい寝起きが良かったらいいのに・・・と思うが、今は置いておこう。



「なっ・・・なっ・・・。」

口をパクパクさせ、自分の胸元を見続けるシェイリーン。

その綺麗なエメラルドグリーンの瞳が、ウルウルと緩み始めた。



「シェイリーン、落ち着いて。本当に、どうしたんだ?」

シェイリーンの涙にはめっぽう弱いラルフは、焦る。

どうしたんだ?と顔を覗かせるラルフに、シェイリーンは潤んだ瞳で見上げると、盛大に口を開く。



「落ち着いてなんていられないわ!・・・なんで・・こんなにっ・・・。」

興奮して口を開いた割には、後半は消えてしまいそうなほどに小さな声でもごもごと呟く。

その顔は真っ赤だ。



「こんなに・・・?」

本当に分からない、と言う様に顔をしかめ、シェイリーンを促すラルフ。



< 4 / 547 >

この作品をシェア

pagetop