偽りの結婚(番外編)
「きゃ、いゃぁぁぁ・・・・!」
寝室に、シェイリーンの叫び声が木霊する。
そして、ラルフの腕を振り切り、起き上がる。
「・・・っ!どうした、シェイリーン。」
途端、いつもシェイリーンと寝ると寝起きの悪いラルフも、弾かれたようにガバッと起き上がる。
それはもう、素晴らしい程の寝起きで。
いつもこれくらい寝起きが良かったらいいのに・・・と思うが、今は置いておこう。
「なっ・・・なっ・・・。」
口をパクパクさせ、自分の胸元を見続けるシェイリーン。
その綺麗なエメラルドグリーンの瞳が、ウルウルと緩み始めた。
「シェイリーン、落ち着いて。本当に、どうしたんだ?」
シェイリーンの涙にはめっぽう弱いラルフは、焦る。
どうしたんだ?と顔を覗かせるラルフに、シェイリーンは潤んだ瞳で見上げると、盛大に口を開く。
「落ち着いてなんていられないわ!・・・なんで・・こんなにっ・・・。」
興奮して口を開いた割には、後半は消えてしまいそうなほどに小さな声でもごもごと呟く。
その顔は真っ赤だ。
「こんなに・・・?」
本当に分からない、と言う様に顔をしかめ、シェイリーンを促すラルフ。