偽りの結婚(番外編)



「ラルフの行動をどう思う?」

「どう思うって……」


アリアが言葉を濁す。

とても言いにくそうだ。

何となく分かっている、アリアが言おうとしてる事。




「思っている事を言ってくれて構わないわ。」


笑顔を作ってそう言えば…




「あくまでも世間一般の話よ?」


アリアが念を押す。




「世間一般では、旦那が理由もなく毎晩遅く帰るっていうのは…浮気をしている可能性があるわ。」

「浮気………」


何となく頭の端で考えてはいた事だけど。

いざ面と向かって言われると、覚悟が出来ていなかったのだと思い知らされる。

“浮気”という二文字は、思いのほか重くズシリと私にのしかかった。

アリアの“世間一般”の励ましも、何の救いにもならなかった。



「大丈夫よ、シェイリーン。ラルフ様が浮気なんてするはずないもの。」


けど、ラルフがそんな態度を見せ始めたのは2週間も前からなのだ。

触れてこなくなってもう1カ月以上になる。



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