偽りの結婚(番外編)



「双子だったというのか?」


呆然としたラルフの言葉に、医師が頷く。

私も驚いていたけれど、これで合点がいく。



つわりが酷かったこと。

貧血を引き起こしたこと。

そして、早い段階でお腹が大きくなったこと。




双子だとすれば、こんな症状が出たことにすべて納得いった。





「ラルッ……ふっ……手……」


痛みに耐えながら、ふわりとほほ笑んで手を伸ばす。




もう一度陣痛を味わうなど耐えられないと思っていたのに。

こんな痛み一度でいいと思っていたのに。

このお腹の中にもう一人私たちの子供がいると分かった時、その顔つきは母親の顔をしていたんだと思う。

ただ強く“会いたい”と思ったの。




ラルフは一瞬驚いたような表情をした後、同じくほほ笑む。

そして、私の手を両手で包んだ。




「もうひと頑張りだ。」


コクンと頷いて、2度目の出産と対峙した。







数十分後―――――


「おぎゃ…ぁ……おぎゃ…」


1人目と同じく、元気な声が部屋に響いた。




「シェイリーン様、2人目は女の子ですわ!」


キラキラと目を輝かせてその子を見せてくれるモニカ。



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