偽りの結婚(番外編)
そして、こちらを向いて、ふわりと微笑む。
「ありがとう、ラルフ。」
「お礼を言われる程の事ではないよ。全て、君の力だ。」
練習から付き合っていたラルフには最初から分かっていた。
シェイリーンが下手ではない事が。
先程は、シェイリーンの力を引き出せなかった男に責めがあるのだと。
けれど、決まって君はこう言う・・・
「ううん、ラルフのリードがあったからよ。」
いつまでたっても健気で可愛いシェイリーンに、愛おしさが募る。
本能のままに抱きよせると、色めき立つホール内。
ラルフはそれを無視して、シェイリーンを軽々と抱き上げる。
「きゃ・・・ッ!」
「今日はこれで、失礼する。妻の体調がすぐれないようでね。」
人々が見守る中、ラルフは有無を言わせずそう言う。
そして、皆が注目する中、ホールを去った。
悔しそうに見つめる男を横目に――――