ジキルハイド症候群



「何言ってんだ?」


熱々の湯気が立っているお粥とレンゲを手に蒼馬はあたしの傍らに腰を下ろした。


「熱も下がったし、痛みも薄れて来たし……」

「でも、完全じゃないだろ………ほら、」

レンゲで一匙掬って少し冷ましてあたしの口元に運ぶ。
反射的に口を開けて受け入れ咀嚼する。


「本当大丈夫よ?……ご飯も一人で食べれるし」

「どうだ?味的に」

「………聞いてる?」


思わず眉間に皺が入ってしまう。
すると、蒼馬は軽くため息をついた。


「恵里は、黙って看病されてればいい」

「………もう二週間経ってるんのだけれど」


もっと詳しく言えば明日は丁度三週間になる。


あたしが蒼馬の家にいるようになってから。


< 242 / 260 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop