ジキルハイド症候群



ふらふらリビングに戻ってソファーで寛いでいる蒼馬の隣に座る。


「どうした?」

「何もないわよ?あれ、那祁は?」


リビングを見渡しても那祁の姿が見られない。


「那祁は野暮用」

「そう」


ポスッとソファーに身を沈めた。


「大丈夫か?」

「少し、疲れたかな」

「なら、休め」


頭を撫でられて目を閉じる。
そのまま身を委ねそうになる。


「ポトフ………」

「ちゃんと起こすから」


クスクスと笑いながら、撫で続けてくれる。
食い意地はったかしらと思いながらあたしは、身を委ねることにした。


「おやすみ」


遠くで、優しい声を聞いた。


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