ジキルハイド症候群



――――あれから。


茉里は、まるで別人になってしまったかのように変わってしまった。
あたしの前だけなのかは、分からない。
それでも、以前のような嫌みな彼女は消え、大人しくなった。


刺々しい言い方もしなくなり、あたしとは相変わらず会話は稀だが、柔らかくなったように思える。


茉里も学年が上がり、高校二年生になった。


もう、これからは、お互いの道を進んでいくだろう。


去年のような苦しみを味わうことはないだろう。


姉妹だから、同じ顔だからずっと比べられてきた。
それが堪らなくいやで、あたしに近づいてくるのは皆茉里目当てで。
本当に辛かった。人間を好きになれなくなりそうになった。


でも、蒼馬は違った。
蒼馬は、茉里じゃなくてあたしを見てくれてた。
ずっと傍にいてくれた。
それは、那祁や廉、亜理砂も同じだ。


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