ジキルハイド症候群
「はっ、独り占めも何も恵里は俺のだ」
「恵里ちゃんはものじゃありません」
「あ?」
(…………困ったわ)
蒼真に口を塞がれたままあたしは考える。誰かこの二人を止めてくれないかしら………那祁、マリモ………
あたしの願いが届いたのか、呆れた声が飛んできた。
「………何やってる?」
(マリモ……!)
救いの神だ、と思った。
マリモは、蒼真と亜理砂を見ながら、ため息をついた。
「お前等、何で仲悪い?」
「……知るか」
「知りませんよ」
ふいっと二人はそっぽをむく。
「………蒼真、お前分かってる?」
「あ?」
「自分の立場」
諌めるように蒼真を睨む。
蒼真はチラッとマリモを見ると知るか、と吐き捨てた。