君のいる場所

声のする方へ首をめぐらせば、案の定真織が三人組のクラスメイトの女達に対して言っていた。
頭をかきながら、溜息を零した。

アイツは昔から言いたい事はハッキリと言う奴だった。
特別積極的ってわけじゃないが、納得のいかない物或るは、卑怯だと思った事柄に対しては、後先考えずに文句を言う。

真織と転校生の姿を遠巻きにしながら、周囲の内緒話を聞く。



「岸本ってこえーよな」
「あいつ小学校の頃からあんな奴だったぜ」
「うわー。言葉とかキツいよな」
「でも…そこがいいよな」



ああ、うるせぇな。
本当……うっせぇんだよ、阿呆共。

壁に寄り掛かっている奴らの間を、蹴る。揃って驚いた顔をしながらオレの方へ振り向くから。



「そこどけよ」
「え、あ」
「邪魔だ」
「は、はい」
「スミマセン」



そろそろと逃げ腰で去っていく男どもを見送りながら、席に座る。ふと後ろへ振り向くと真織と眼が合った。



「(バーカ)」



口パクで伝わった言葉の意味に、眉間が寄る。



「(オマエだけだ)」



三席離れたこの距離が、オレにはもどかしいくらい調度よかった。


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