君のいる場所
顔を上げて覗くようにその子の顔を見ると、不敵に微笑んでいた。
「それに先生は神谷に頼んだし。委員長は休み。神谷に任せれば?それが一番の適任でしょ」
「で、でも。結城さん女の子一人じゃ」
「あ。転校生になりたいならなればいいんじゃない?そうやって口実作らなきゃ喋れもしないんだからさ。……嫉妬心丸出しで、ちょっと見てて見苦しいよ、あんた等」
冷たい、冷えた声が彼女達を襲う。
何も言えずに悔しそうな顔をしてその場を去っていく。
そんな彼女たちの背中を見ながら、視線を前へと戻すと言いたい事を言えたようなスッキリとした顔をして身体を前へ向き直して背中を向けられる。
そんな彼女の背中に向かって。
「ありがとうございます」
そう言ったら、掌をヒラヒラと振られた。
綺麗な顔だちにスラットした体型。色白の肌に短いモカ色の髪が揺れる。毛先の一本まで彼女を美しく際立たせるようで。
そう、まるでおとぎの国からやってきたお姫様のような人だった。中身はアイスハートのようだけど。
「あの、名前は?」
「…岸本真織。呼び捨てでいいよ、あと敬語なし」
「はい!じゃなかった……うん」
だけど、……それは口調だけだったみたい。