お姫様の苦悩
目の前に置かれたグラスの中で氷がプカプカと浮いていて、ただなんとなくそれを眺めていた。





カフェの壁に掛かっている時計を見れば後1分で18時になる。





何度深呼吸をしただろうか。





何度時計を見ただろうか。





時間前なのに、入口に設置されてある鈴が鳴る度視線を向けてしまう。





譲さんを待ち焦がれてるのに、伝える言葉はいまだ整理出来てない。





どうしよう―――――もうすぐ譲さんが来るのに心臓が痛くなって来た。





胸に手を当てれば間違いなくドクドクと鳴っていて、周りにも聞こえるんじゃないかと思うほどの鼓動。





目を閉じてまた深呼吸と息を吐き出したところで鈴が鳴った。





顔を上げて見れば、少し髪が乱れていて緩められたネクタイ。





キョロキョロしていた目が合うと微笑んでくれて、私も自然と笑顔になる。





譲さん―――急いで来てくれたんだ。




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