雷の薔薇 エクレールローズⅠ

紫と金の十字架

「こっちこっち!早く…。」






「ちょっと待ってよ!」





ハァハァ…。だからアンはしょうがないんだから。





「早く早く…。」






教会の広大な庭で走り回るシスターとブラザーは神学の授業が終わり…。鳥小屋に走って行く。






白いハトがいっぱいいる。片隅にヒナがいた。






紫の十字架が追いついた。





光が天窓から射し込み…。綺麗な金髪が光輝く。背中に羽根があるように見えた。
振り返る青い瞳は明るく。





ハッと息を飲む。
「天使…。」






「見てカトリーヌ!ヒナが羽ばたいてるよ。」






「そうね。」






近より石段につまずく…。
「大丈夫?カトリーヌ。」





天使を押し倒した。赤くなるのがわかるくらい体は火照る。






「ごめんね…。」






「カトリーヌ。おでこ…血。」






額に口づける。






「なななな!」






「クス。あははは!カトリーヌは可愛いな。」






何時からか閉まってしまったこの気持ちは。
それでも私が貴方を守れるなら…。
私は貴方の楯になる。
私は貴方の剣になる。






私は…。貴方の笑顔が見られるならそれでいい。





貴方は優しすぎるから。私が剣と楯になる。






神様に選ばれた貴方。
閉まった私の心を君に捧ぐ。






私は神様と結婚したの。
だから私は…。






金の十字架に誓う…。






この紫の十字架にかけて…。






貴方を守ると。





幼き日の天使を守ると。





私は…貴方の剣と楯。






この身が果てるまで私は貴方の…。






貴方は知らない。優しく眠る天使。そっと頬に口づけを落とす。
あの日誓いし約束は…。




「アン愛してる…。」




私が守ると誓って…。この天使に祝福と安らぎを…。
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