さよならマイヒーロー




「たっちゃーん! たっちゃん! 開けてーっ」


ぴんぽんぴんぽんぴんぽん。

そこまで連打されなくても聞こえるっていっつも言ってんだろ! 思いながらも俺は絶対ほのかには突っ込まない。
理由は簡単。無駄だからだ。

俺の部屋から出て玄関に向かう途中、リビングから母さんに生ぬるい笑顔を向けられた。
なんで俺があのアホのことで謝りたいような恥ずかしいような気分にならなきゃならないんだ。世の中間違ってる。絶対に。


「近所迷惑、ほのか。うるさい」

「だって聞いてよたっちゃんー! お兄ちゃんが、お兄ちゃんがひどいんだよー!!」

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