さよならマイヒーロー
うわーん! とタックルかよと思う勢いで抱きついてきたしょうもない幼馴染を俺はどーどーと背中を撫でてやる。
――また、遥さんか……。
あの穏やかな、そのくせ腹黒い笑顔を思い出して俺はひっそりため息を漏らす。でもほのかはそんなこと知ったこっちゃない。
このアホに振り回されるのも、悲しいかな、もはや月1の恒例行事だったりしてしまう。
「――で、今回はなんだって?」
「お兄ちゃんが汚されたッ!!」
部屋に連れ帰ってお茶まで出して、相談に乗ってやる俺ってなんて優しいんだと言い聞かせながら、話を振ってやればコンマ1秒で返ってきた金切り声に、俺はついうっかりお茶を噴いた。
ちょっと汚い! とかほのかは騒ぐけど、誰のせいだと思ってんだ、このやろう。