ピュアハート



私たちが向かっているところは、緑地公園の中のプール。遊歩道がずっと先まで伸びていて、その途中には所々ベンチが設置されている。その中の一つ、木陰になったところに座った。


キャー、初めて手つないじゃった。


男の人にずっと苦手意識を持っていた私は、手に触れただけで顔が真っ赤になってしまう。今までは、父親や親戚の叔父さんぐらいしか触れられなかったから。

クラスメイトやクラブの仲間とは常に一線引いてたし。

単に苦手という訳でなく、ちゃんと理由がある。


小学6年の時、立ち読みOKの込み合った本屋さんで痴漢にあったから。

それ以来、憧れはあっても、恋にまで発展することはなかった。



< 37 / 103 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop