傷だらけのラブレター



「……。」




お互い、なにも話さずに背中を向ける。



もしかしたら、もう直也と会うことはないかもしれない。



もしかしたら、これが直也との最後かもしれない。





――…もう、手術は二週間後。


明日から、手術の前の入院が始まる。



無条件で直也を見れた学校に、いけなくなってしまう。





「……愛未!」




ふと、背中越しに彼が呼んだ私の名前が、風を突き抜ける。



引きつけられるように振り向いていた、私の背中。




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