傷だらけのラブレター



一番廊下側に近い列に上下で並ぶ、私と直也の席。



窓際とは違って日差しも当たらないし、冷たい風だけが辺りを取り巻く。




…寒いし、冷房や暖房はこっちまで当たってこないし。


風通りが悪いから、なんかジメジメしてる。




―…それでも。


私にとってこの席は、直也の姿を後ろから見られるベストポジションだったの。





『……。』




私の居場所は、いつだって直也の“後ろ”。



授業を受けるときも、朝や帰りに登下校する時も。



2人が並んだことは一度もない。




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