猛獣に射抜かれる様な愛


譲の車へと乗り込もうとした時、署の駐車場から左ハンドルの黒い外車が出て来た



あの車は矢斗?矢斗が定時に帰宅するなんて、珍しくない?



横切る矢斗の車へ視線を向ければ運転席へ乗車している矢斗と一瞬目が合うもそのまま去って行った



矢斗でも早く帰る事あるんだ。いつも遅くまで残ってるから凄く意外なんだけど…



もしかして…女?



女と会う予定でもあるのかな




「結菜、どうしたんだ?」


「へ?」


「ぼーっとしてたぞ」


「あ、えっと…ううん。ほら、行きましょう」




譲の声にハッと我に返ると車の助手席へと乗り込みシートベルトを締める



私ったら何考えてたんだろう。別に矢斗に気を取られてたとかじゃなくて、仕事の疲れからぼーっとしてた。ただそれだけ。



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