UNDERWORLD
死の宣告
今日も一人の男の死刑が決まった。
その男の名は蓬莱(ほうらい)要。
罪状は殺人、殺人未遂、強盗、放火etc…正に悪行の限りを尽くした極悪人である。
彼は元々依頼を受け暗殺や強盗等を行う闇の仕事人、会長クラスから政治家迄色々な人々から頼まれては殺し、盗みの日々を送っていた。
代々闇の仕事人を勤めて来たのに何故捕まってしまったのか?
完璧な仕事は時に不安を与えてしまう。『次に自分の所に来たら殺される』その猜疑心に取り付かれた前依頼主の裏切り、売れすぎた名前がこの結果になってしまったのだろう。
だが、彼はその依頼主を恨むつもりは更々無い。むしろ捕まって済々しました的な表情で檻の中に静かに座っていた。
一つ後悔があるとすれば自分を捕まえた男にリベンジ出来ない事だけであった。

刑が確定した翌日彼に面会を希望する男が現れる。
身寄りも無く友人もいない、弁護士に至っては上告する意志が無い為解雇しているのに『誰が?』と言う表情で看守に聞く

『俺に面会?何かの間違いじゃないか?』

看守は答える

『行けばわかる』

その一言を発しただけで何を聞いても暖簾に手押し、渋々面会室へ向かう。断る事も出来たが逆に興味を示しとりあえず会ってみる事にした。
だが、歩けど歩けどまだ着かない。いつもの面会室はとっくに過ぎてる。

『なぁ看守さん。何処まで行くんだい?面会室ならとっくに…』

看守は低く荒げた声で

『うるさい!黙って着いてこい!』

取り付くしまもない。
10分は歩いただろうか…見た事も無い部屋へ案内されると今まで無口だった看守が

『このドアの向こうに面会人がいる。お前にとって重要な話になるだろう。終わったらドアをノックしろ。』

それだけを言いドアを開けた。
目の前にいるのは見知らぬ人物。背が高く華奢に見えてしっかりした肉付き、端から見ればイケメン青年実業家のような風貌…誰だ?
そんな顔をしていると

『始めまして蓬莱さん。貴方にお会いしたくて来ました。』

ニッコリ笑みを浮かべてこちらに軽く会釈したが引き攣った笑顔を出すのが精一杯。椅子にドッカと腰掛け

『あんた誰?』

その問いに男は…
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