夢幻の姫君

この国を統べる者

王宮は国の南にあった。

 草花が綺麗に手入れされた庭。そびえ立つ綺麗な城だった。
ただ、光が当たっているのに、陰っているように感じた。

私がレンの後に続いて入ると、お化けを見たような顔をした使用人達に遭遇した。
 皆ココで働くメイドあるいは侍女らしい。
私には上の違いはわからないが。

「は、春姫様・・・・・・」

一様にそう呟いて私を見ていた。

 一部の者を除いては。

その者達は憎しみのこもった目や、恐怖で震えている者がいた。

「レン。あれは・・・」
「花姫様の専属だ。言っておきますが花姫様は、貴女の妹君です」
「妹? では、私は妹に嫌われていたのでしょうか。」

そう思いたくなるような、目線だった。

「いいえ。むしろ好かれていたと思いますよ」
「じゃぁ、どうして―――」
「ここです」

話を切られて前を見ると綺麗な装飾がされたドアがあった。

「さっきの事は、訊いてみてもいいですよ。準備はいいですか?」
「はい!!」

そして、ドアを開けた。
< 130 / 210 >

この作品をシェア

pagetop