夢幻の姫君
 そこで、声が途絶えた。
『あなたは――』? 何だろうその後は。

――知らなくて、いいのよ――

えっ? どういう事? あなたは誰?

――忘れたい事も、生きていればあるわ。現に貴女はそうだったでしょう?――

それもあるけど、大事な人まで忘れるのは嫌だってわかったんだ!!

――そう・・・強くなりましたね。思い出したら、私に会いに来てくださいね。私の大事な・・・――

「・・・ー? クー、クー!!」
「ハッ・・・」

健人たちの声を聞いて意識がはっきりした。

「大丈夫か? 頭抑えながら倒れたから」
「大丈夫、それよりレン」

健人に言ってから言う。

「さっき言った。絶望に、って思い出せばわかる?」
「あ、あぁ。でも思い出したくないんじゃ・・・」
「確かにその話をすると頭痛がする。でも、逃げたくないんだ」

言い切った私に、レンは一度目を閉じてから言った。

「では、行きましょう王宮へ。 話はしてありますから・・・」

覚悟を決めて、私は向かった。

 健人とレンの翳った表情には気づかずに―――――
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