夕陽

「えぇぇ。見ず知らずの人に普通言いますか?
否!言いません!
そこら辺ふれないでくださ」

ぐぅぅぅぅ。
智咲のお腹が鳴る。
「・・・・。」

「・・・・・。」


「朝から何も食べてない。おなか減った」


「どっかよっていくか?」
「うん。奢ってね。」

智咲はニコニコと笑う。

「・・・そんなに食べ過ぎてくれるなよ。」

男は不安そうにいう。

「わかってるって!
・・・そういや名前まだ聞いてなかったよ。
教えて!
あたし橘智咲だよ。」


「俺は・・・・吉田栄太郎だよ」

「うん。よろしくね。」

そういって智咲は笑う。
「楽しそうに笑うなぁ?ほら。行こう。おいてくよ?」

そういって栄太郎は
歩き始める。


「うん!あぁまって栄太郎!」

「早速呼び捨て?!
まぁいいや。」



このあと智咲が栄太郎の財布を寂しさと後悔の念で押し殺そうとしたのはいうまでもない。
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